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「[R30]: ファイナンスした人が責任取れば?」に対して

[R30]: ファイナンスした人が責任取れば?ではマンションの耐震強度偽装の件について
問題の本質は「違法な建築のはずの建物が、基準に合致していると判を押され、それを正しいと思って金融機関が購入者たる住民に住宅ローンを融資、つまり信用を供与した」ことなのである。

と位置づけ、解決方法として
まず国交省と金融庁は「債務者が預かり知らないところで作られた違法建築に対して供与された住宅ローンは、本来債務者に返済義務はない」として、金融機関にまず責めを負わせればいいと思う。

取りっぱぐれた住宅ローンの回収のたしになるように、イーホームズを身ぐるみ剥がして持っていけば良い。

論拠として
金融市場のルールに倣う、つまり「与信のもととなるエビデンスにゴーサインを出した奴が責任とれ」、ということにするしかない。企業のファイナンスであれば、与信の論拠となる財務諸表にはんこを押した会計士が責任を取れということになっている。


とおっしゃっています。

が、「例え」か「論理構成」にちょっと無理があると思います。

投資の場面ではまず投資家に自己責任の原則があります。次に自己責任の前提となる財務諸表等が虚偽だった場合は作成者である会社、作成責任者である取締役、その財務諸表が虚偽であるのに適正であると証明した公認会計士が責任を負います。(挙証責任の転換有り)

今回の事件ではR30氏はマンション購入者に与信をした銀行を投資家になぞらえてますが、ファイナンスの問題として捉えるとどうしても投資家と同じ立場にいるのはマンション購入者になってしまうと思います。これはR30氏が批判の対象としている見方ですが、株式の購入資金のために銀行から借入れした個人投資家を考えれば明らかにそうなってしまうと思います。

とすると、R30氏の論理では実はマンション購入者を追い込むことになりかねません。

私もマンション購入者は立場の弱い消費者であり優先的に救済すべき対象だと思っています。ただそういった価値観を持っていても慎重に理屈を展開しないと逆の結論を導きかねないと思います。
R30氏の記事では「例え」か「論理構成」にちょっと無理があって、マンション購入者を追い込む結論につながりかねないのではないでしょうか。
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